小出裕章氏(元京都大学原子炉実験所助教)インタビュー Vol.5 Part1


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2013年9月15日(土)に元京都大学の小出助教とお会いしました。
そこでホワイトフードに寄せられたお客様からのいくつかのご質問を取り上げ、お答え頂きました。

ホワイトフード「こんにちは。元京都大学原子炉実験所の小出裕章助教にインタビューを致します。宜しくお願い致します。」

小出先生「こちらこそ、よろしく。」

Q:国の定めた基準値よりも低い数値ですが、放射能汚染として0.5〜10ベクレル/kgを子ども向けの食事としては、どう解釈したら良いでしょうか?

(小出先生の回答)
はい、皆さんご存知だと思いますが、1kgあたり100ベクレル、それを下回っている限り、全て安全だと国は言っているのです。1kgあたり99ベクレル、90ベクレルも、50ベクレルもあるいは10ベクレルも 0.5ベクレルも全て一色たんに安全だと言っています。

私は放射能はどんな意味でも危険だと思って来ましたし、今でも危険であると確信しております。1kgあたり99ベクレル危険だし、90ベクレル、50ベクレル、10ベクレルでも危険だと思います。

福島原発事故前は日本の殆どの食べものは、1kgあたり0.1ベクレル程度しか汚れていなかったのです。100ベクレルを許すということは、事故前の1000倍の汚染を許すということになってしまいますので、私はそれは正しくないと思います。99、50、10幾つでもいいけども、きっちりとして測定し、私達はそれに向き合うべきだと思います。

ホワイトフードは元々子ども向け赤ん坊向けにきれいな食べ物を回そうということで、この仕事を始めてくださった訳ですし、私自信も少なくても原子力を選んだことに責任のない、福島の事故を起こしたことに責任のない子どもたちには、できる限り汚染の少ない食べ物を回すべきだと思ってきました。まずはきちっと測定するということをすべきだと思います。

ホワイトフードはその仕事を引き受けてくださって、やってこられたわけで0.5〜10ベクレルの汚染された食べ物はどうかと今質問を頂きましたが、もちろん1kgあたり100よりはましだと思います。ただ、1kg10だとしても事故前と比べると100倍の汚染を許すということになります。

できれば私は子どもや赤ん坊には10ベクレルというものを回したくないと思います。どこまでならばいいのかと問われると、それはとても難しいことなのですけども、限りなく事故前に近い0.1とか0.5とか、そういうところに大人の責任として近づけるべきだと考えています。

Q:学校給食が汚染されていた場合、学校給食関係者にどのように説得したら良いでしょうか?

(小出先生の回答)
それはとっても難しいことだと思います。ただ、いまも聞いて頂いたように、この事故に責任のない子どもたちを被曝から守ることが大人の責任だと思ってきましたし、学校給食は子どもが食べるものですので、私達大人が真っ先に気をつけなければならない、そういうものだと思います。

そして学校給食に携わっている方がいらっしゃるわけですから、まずはそういう方々が自分の仕事として、子どもたちの被曝を少なくすることが大切であることを分かって欲しいと思います。分かっていただこうと思っても、一方で国が100ベクレル/kgまで安全であるという宣伝をずっとひろげてきているわけで、学校給食は地方自治体がやっているわけで、中々国の方針をくいやぶって子どもたちを守るということは難しいと思いますが、せめて学校給食にたずさわっている方には、放射能の影響、特に被曝に対して敏感な子どもたちをどうすれば少しでも守れるか真剣に考えてもらいたいと思います。

Q:給食で0.5〜10ベクレル/kgのセシウムが入っていると、どのようなリスクが、どんな確率で起こるのか。

(小出先生の回答)
まずこのベクレルというのは放射能の量ですね。

それを食べるあるいは吸い込むというもあるし、地面が汚れているということもあるわけですけども。被曝量というものは、シーベルトあるいはグレイという単位で測ることになっております。

今日本では1年間に1ミリシーベルト以上の被曝はさせないというのがこれまでの法律でした。しかし福島の事故が起こってしまって、もうそんなことは守れないということで、自分で決めた法律を反故にしたのです。

今までは平常時だった。今は緊急時だから自分で決めた法律は守れない。1年間に20ミリシーベルトまでは諦めさせるというふうに今法律を作ってしまったわけですね。私はそのこと自体がおかしなことだと思います。

1年間に1ミリシーベルトという被曝量も安全なわけではありません。どんな被曝も危険を伴ういうことが現在の学問の到達点であります。では1年間に1ミリシーベルトというのはどう決められたかと言いえば、日本に住む人間としてこの程度となら受け入れるべきだろう、我慢すべきだろうということで社会的な基準として決められたのです。

では1ミリシーベルトの被曝をするとどうなるかというと2500人に一人でいずれガンになるという程度の危険性です。逆にいうと2499人は害を被らないので良いだろうというふうに決められているわけですね。

ただし、先程ちょっと聞いて頂きましたが、子どもは放射線に敏感です。0才の子どもであれば、平均的な人間に比べると4〜5倍危険です。平均的な人間が1ミリシーベルトで2500人に1人がやがてガンで死ぬということであれば、赤ん坊が1ミリシーベルトの被曝であれば500人〜600人に1人の子どもがいずれガンで死んでいくという運命をおわされるというわけです。

では1kgあたり10ベクレルというものを食べたときに、どれぐらい被曝するかということを計算しないといけないわけですね。これは今私達は放射性物質のなかでセシウムというものを問題にしているのですが。

ごくごく大雑把に言うと、1000ベクレル食べてしまうと約10マイクロシーベルト被曝します。半分かもしれないし或いは倍かもしれませんけども、約10マイクロシーベルトぐらいの被曝をします。

1kgあたりもし10ベクレルであるとすれば、1000ベクレル食べようと思えば100kg食べてはめて1000ベクレルにになる。それで10マイクロシーベルトの被曝量です。1ミリシーベルトと比較すると100分の1というぐらいですね。毎日毎日それを食べていくと今度は365倍する訳ですから、それなりの被曝量になると思います

でも赤ん坊が1日どれぐらい食べるといえば、1日1kgという食べ物を食べることは多分ないだろうと思うしし、1kgあたり10ベクレルという汚染であれば、1kgかりに食べたとしても、10マイクロシーベルトのさらに100分の1ぐらい、1日あたりですね。1年とったとしても数十マイクロシーベルトあるいは100マイクロシーベルトになる、その程度だと思います。

これまでに許されてきた1マイクロシーベルトの10分の1、あるいは何十分の1というところで、少なくても食べ物に関しては抑えることができるだろうということになります。

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