小出裕章氏(元京都大学原子炉実験所助教)インタビュー Vol.5 Part2


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2013年9月15日(土)に元京都大学の小出助教とお会いしました。
そこでホワイトフードに寄せられたお客様からのいくつかのご質問を取り上げ、お答え頂きました。

Q:学校給食の関係者へのメッセージあれば?

(小出先生の回答)
先程聞いて頂いたとおりです。残念ながら福島事故が起きてしまって、汚染も起きてしまっています。その中で今私たちにできることは、子どもたちの被曝をどうやって少なくするかということだけだと私は思っています。

そのためには例えば環境そのもの、学校の環境をきれいにするとか、幼稚園の園庭をきれいにするとか、地域の公園を綺麗にするとか、各家庭の庭を綺麗にするとか、そういうことはもちろん大切ですし、一方で食べ物に注意することも重要なことだと私は思います。

子どもの場合には、まずは母乳を綺麗にする。つまり母親の体を綺麗にすることをしないといけないし、あるいは粉ミルクを使っている家庭であれば、汚染の少ない粉ミルクを使うことが必要ですし、今問われているのは学校給食ですが、成長期の子どもたちが学校にかよって食べ物を食べているわけですから、そういうものはできる限り綺麗にするということを学校給食の関係者の皆様には心して欲しいと願います。

Q:福島原発事故で漏れ続けている汚染水による海産物への影響リスクがあると思いますが、子どもの食卓を守る上でどのような対策を立てると良いでしょうか。

(小出先生の回答)
わかりません。海へ向かって汚染水が漏れているのですね。

漏れてしまうと海は全てつながっているのです。今は福島原発事故の敷地の前面の魚が汚れているはずだと思います。それを北海道に持ってきて水揚げすると、北海道産の魚になってしまいますので、どうすれば汚染の強弱を知ることができるのかというのは中々難しい。

ホワイトフードという特殊な仕事担っているところが、しっかりと測定し、どういう魚がどれぐらい汚れているか測ってくださるなら私はありがたいと思います。ただ中々手がまわらないと思いますし、海産物からの被曝から私達が制御するということを問われると中々難しいと思います。

やはり本当であれば、この事故を引き起こした巨大な会社である東京電力がかつては自分の所有物である汚染物がどれぐらいであるのかをきちっと調べて人々に知らせる責任があると私は思います。自分たちで測ることには限界があるということを知った上で、東京電力やあるいは国に測定をし公開しろと求めていくべきだと思います。

(ホワイトフード)
ありがとうございます。

(ホワイトフードの質問)ホワイトフードでは現在ゲルマニウム半導体検出器のみを所有しているわけなのですけども、海産物を測る上でどのような対策をうつべきでしょうか?

(小出先生の回答)
現在、一番注意をしないといけない放射性物質は私はセシウムだと思っています。それはホワイトフードが今使ってくださっているゲルマニウム半導体検出機が一番良い検出機です。ですからこれからも続けて欲しいと願っています。

ただし、海産物に関する限り、私はストロンチウム90という放射性物質にも注意をしなければいけないと私は思います。ストロンチウ90という放射性物質を測ろうとすると、大変な手間ひまがかかるのです。放射線の測定器自体はプリミティブなGM管でも何でも良いのですけども、放射線の測るという段階にいたるまでに、魚なら魚、野菜なら野菜の中からストロンチウムという元素だけを取り分けなければならない。私達が化学分離、ばけがく分離と呼ぶような非常に面倒な操作をして、魚や野菜の中からストロンチウムを取り出す。そしてはじめて試料ができて、放射線の測定器ができるようになるのです。

1つの試料をつくるのに1週間という時間がかかるのです。そして、化学操作ができるという専門的な力を持っているヒトでないと、それができませんので、失礼かもしれないですが、ホワイトフードがその測定を担うのはとても重荷になるでしょうし、実質的には多分できないだろうと思って頂いた方が良いだろうと思います。

先程聞いて頂いたように、セシウムとどうように東京電力の所有物だったわけです。自分の所有物がどこにどれだけ汚染を拡げたのかということを東京電力に測定させるということが一番良いと思います。東京電力は既に倒産しているような会社ですので、それが無理であれば、国にやらせるということを求めるべきだと思います。

ただしストロンチウムの現在の海の汚染は、セシウムの汚染に比べると、まだ少ないというデータが殆どです。中に貝のように貝殻を持っている生き物、あさりとかですね。ストロンチウムは貝殻や骨にたまりやすいので、むしろセシウムよりもストロンチムが多くたまっている生き物もあるのですけども、私達は貝殻をバリバリ食べるわけではありませんから、セシウムよりもストロンチウムの汚染は少ない、海の海産物で。まずはセシウムをしっかり測って、場合によっては同じぐらいストロンチムが入っているぞと考えながら向き合うことが今やるべきことだと思います。

(ホワイトフード)
アドバイスありがとうございます。それではインタビューありがとうございました。

(小出先生)
ありがとうございました。

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