【第二回 内部被曝を考える会:給食編】鎌仲監督からの報告「給食@ベラルーシ – きめの細かい対策」


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2013年12月19日参議院会館での【第二回 内部被曝を考える会:給食編】、鎌仲ひとみ映画監督からのご報告「給食@ベラルーシ – きめの細かい対策」の文字おこしです。

鎌仲です。よろしくお願いします。

今日はまず2012年にベラルーシに行って、最初に行った取材だったのでベラルーシ中をがっと回って取材してきた中の学校の部分をちょっとだけ編集してきました。パワポで要点を見てから、映像みながら解説をさせていただきたいと思います。
給食に関して特別な規制値は設けていないですね。これは私もどうしているのかなと思っていたんですけども、ベラルーシは元々ソ連邦だったんですけども、ソ連時代に事故が起きて、ソ連時代の基準値は非常に高いもので、驚くべき数値、もの凄い高い食品の基準値を持っていました。それから年代がだんだん1970年、88年にいくにしたがって、ちょっとずつ厳しくなっていくんですけど、ソ連という国家が崩壊してしまって、ベラルーシとウクライナがそれぞれ独立国家になった1990年台はじめぐらいに、格段にきびしくなった。

給食は教育省の管轄になっています。特徴はですね、汚染地ときれいな場所を分けるということなんですね。汚染地はどういふうに言われているかというと、日本の場合、、原子力規制庁が20ミリシーベルト健康影響ないんじゃないのとこの間言い出しまして、2年と半年たった時点で20ミリシーベルトを提案しているんですね。つまり、20ミリシーベルトということは、18ミリ年間あびるような、あるいは10ミリ浴びるようなところに住んで大丈夫だよということをこの時点で言っているということなんですけども、ベラルーシの場合は1ミリシーベルト〜5ミリシーベルト年間浴びることを意味しております。この被ばくを想定される地域に住んでいる人たちは移住権、移住選択権を持っているので、敢えてここに住みたくないという人は出て行っているんです。

だけど、どうしてもここに住まざるをえない人、ここに住みたいという人たちはある人口の数で残っています。この地域に存在している学校に関しては、無料給食の数を増やしています。この地域に住んでいる人たちの全体的な傾向は貧しいんですね。経済的ないろいろなことがあってきれいなところに移住できないというハンディを持った人たちなので、子どもたちも貧しい家庭の人が多い。そうすると、きちんと栄養とれないということもありますし、貧しいということは汚染された食品にアクセスしやすいということでもあるんですね。1ミリシーベルト以下に住んでいるところは週1回は無料給食があるんですけど、汚染地の場合は週2回にしているし、量も多くしています。麺類、魚類、豆類、肉類、ジュース、果物、乳製品、海産物とはちみつが1ミリシーベルトのところではでないけど、汚染地の子どもたちにだけ出る。そういう施策を教育省が子どもたちにしているんですね。

牛乳は毎日飲ませておりません。それはカルシウムは他からも取れるから。牛乳に関していいますと、例えば、ゴメリ州。一番汚染を受けて、1ミリ〜5ミリシーベルトのところに住んでいる子どもたちの数が多い州では牛乳はダブルチェックしています。まずセシウムを測って、セシウムが検出されていなくてもストロンチウムをその後測って、両方測ってからじゃないと子どもたちに供給しないということをやっている。そのストロンチウムを測るラボが5つあります。ゴメリ州に5つある。日本もそういう体制を作っていくべきじゃないかなと思います。そのベラルーシは経済的には日本よりも、もっともっと厳しい国なので、日本では例えばオスプレイ買わなくたってそっちにお金を使いなさいと思いますよね。

学校では放射能防御を教えています。殆どのベラルーシの家庭は都会に住んでいても、小さい菜園を持っている。お金を出してスーパーで食品を買うのではなく、ベラルーシのスーパーで並んでいる食品のほとんどは厳しく検査されていて非常に低いレベルなんですけども、特に汚染地で家庭菜園をしているとどうしても例えば私が見たのではじゃがいもでは15ベクレル/kgぐらいあるんですね。じゃがいもはベラルーシの人にとっては主食に等しいので、日本人にとってお米みたいなものなんですよ。そういうのを日常的に食べちゃうというのは問題なんですよね。子どもが学校に行く時に、親が作った作物を袋に入れて学校に持ってい行って、学校で自分で測る。そういう教育をしているんですね。

小学校の全学年に被ばくや放射性物質に関する授業をして危険性を教えています。

学校の保健室、日本にも学校の保健室ありますよね。そこに保険医さんがいて子どもたちの健康を見守るということをやっているんですけど、保健室が学校の外にありまして地域の診療所みたいなところが子どもたちの健康検査などをしているんですけども、私が行った学校のすぐそばにあり、爆発したチェルノブイリの30kmちょっとのところなんです。結構汚染されたところなんですね。そこではスカーフをとった女の子のカルテはすごく古いもので、1980年当時から保険医たちが子どもたちの健康をずっと記録して、こういうノートをずっととっているですね。記録を持っているとうことは後々子どもたちが被ばくになった時に1980年当時からどうだったのかという、そういう医療記録が残っている。とても大事なことだと思う。

給食とは関係ないかもしれないんですけども、これがベラルーシで一番汚染された州なんですね。ここにホイニキと書いてありますけども、これからお見せするビデオは、基幹政策福島は2年と9ヶ月で20ミリシーベルトのところにどうぞお帰りくださいとだけあったって、大丈夫ですから帰ってくださいと言っていますけど、それと同じようなことを、実はベラルーシもやっています。

それはこんな早い時期ではなく、最近やりはじめた。セシウム134は3分の1以下になって、殆ど検出されませんね。あと、セシウム137が半減期30年ですから、27年経っているわけで半分になっている。あと、非常に長寿命の放射性核種ストロンチウムやプルトニウム、そういうものが土壌の中に残ってる段階。ただ、肥沃な大地があるのでそこに帰って、工夫しながら暮らせないか。

ということで、このホイニキというところを国策で除染を徹底的にやってこういう汚染されていないところに住んでいる貧しい人たちに優遇するから、住居を無料で提供するから、ここに移住して農業に従事しませんか。というそういう施策をはじめたんですね。

この表がベラルーシの基準なんですよ。ちょっと見て頂くと、1997年それから2000年これが貿易加盟国で基準が緩くなってしまったんですね。加盟国の中で協定してしまったら、本来自分たちが決めたものよりも緩くなった状態になっています。

これ水なんですよ。2と4になっています。セシウムがゆるくなった基準なんですけども、すごく細かくモノによって40のモノもあるし、70のモノもあるし、驚くことにキノコは350なんですよ。キノコすごい食べたいんですね。だから、低い値にしておくと食べれないので、キノコは何か高くなっているんですが、教育の中では子どもたちには食べるなということをちゃんと言っています。

映像みながらちょっと解説したいと思います。それがその学校なんですけども、ベラルーシの学校は土足で出たり入ったり、出たり入ったりするんですが、この学校だけは内履きを採用しております。お掃除を担当するこの方は何人もいて、授業が一回終わるごとにモップをかけて、放射性物質が学校に入り込まないようにしているんです。

これは給食を食べているんですけど、実はこれは昼食ではなく、朝ごはんなんですよ。こういう小さい子どもたちに、朝ごはんを無料で朝ごはんを食べれない子が多いので無償で提供して全員が朝ごはんにありつけるようにそういうのが週2回、家でも食べれなくても、学校に来れば食べれると。そしてこれらは学校で測っています。

こういう学校のグランドを日立アロカで測ったんですが、0.05でした。この子たちはスープとかマッシュポテトとか、食べていますけど、何か色々な調理方法を使って、放射性物質を食品から少なくするように調理をしていると料理担当は言っているんですね。

私はゼロになるかと聞いたんです。放射性物質はゼロにできるかと聞いたら、ゼロにはできないけど、安全基準より、政府が定めた安全基準よりも、相当低いものにしているということ。

この汚染地図を各学校に張ってあるんです。子どもたちもどれぐらいの汚染のところに住んでいるか理解しています。この先生が全校の生徒に定期的に放射能と自分たちの関係というのを教育しているんですが、こういう教材を使っています。その教材の中に、何を食べたらよくて、何を食べたらダメなのか、放射性物質がどういうふうに環境の中にあるのか、こういうテキストを配っているんですね。日本とは違いますね、こういうところが。こういうふうに食品の基準値が書いてありますし、こうやって畑で作った物の中に、例えばミルクにどうやって放射性物質が入っていくのか、お肉の中にどうやって入っていくのか、野菜をどうやって調理すると良いのとか、あとは、野生のもの、特にキノコは食べてはいけないとかですね、そういう基本的なことを教えていますし、家も放射性物質が入り込まないように、お掃除をしなさいとか、やはりキノコは特に高い。

この人が校長先生なんです。校長先生はとにかくここに住み続けるしかない人達がここにいるので、できるだけ子どもの体に放射性物質をいれないというのが使命だと言っています。できるだけ入れないということを目指している。そういう話をしています。

ベラルーシも独裁国家と言われているんですね。だから現場のお母さんたちや先生や研究者で、心ある人達は一生懸命政府と戦っていろいろな改善を獲得しています。お医者さんも科学者も政府と闘うと、すごく弾圧されるので、政府に向かってはハイハイと言うんですが、現場にいくとハイハイといったこととは違うことを先生とかがやったりして、そういうやり方も私はありかなと思っています。

簡単にベラルーシの給食事情をご報告しました。

ありがとうございました。