小出裕章氏(元京都大学原子炉実験所助教)インタビュー Vol.6


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2013年9月15日(土)に元京都大学の小出助教にインタビューしました。
こどもみらい測定所とホワイトフードのお客様から寄せられたママ・パパからのいくつかのご質問を取り上げ、お答え頂きました。

Q:トリチウムについて
トリチウムの濃度が急上昇という発表がありましたが、核反応が再開した可能性はありませんか。トリチウムが水、魚介類経由で、人体に取り込まれるリスクはありますか。ある場合、その影響は?

(小出先生の回答)
はい、詳しくお応えしようとすると大変ですが、核分裂の連鎖反応が起きている可能性はありません。まぁ、絶対ないかというそういう言葉はあまり使いたくありませんが、絶対という言葉を使っても良いくらい私は思います。

ただし、既に膨大な放射性物質が原子炉からふき出てきているわけですし、トリチウムも福島原子力発電所の敷地の中にもう溢れかえっている訳ですし、事故以降ずっと海に流れているのです。

トリチウムという放射性物質ですが、正体は水素なのです。この地球は水の惑星と言われるように水素と酸素でできているのです。私の体にしても皆さんの体にしても、ほとんどは水でできているわけで、これほど水は大切なものですし。水を構成している水素も大切なものなのです。生きるというために。

ただ、この地球上にある水素というものは、水素と、その2倍以上重たい重水素があるのです。そのどちらも放射能を持っていいないのです。トリチウムは3重水素と言われるように普通の水素の3倍重たく、放射能を持っているのです。それが環境に吹き出してきているのですから、この地球上で水素がガス状で存在することは殆どありません。殆どは水になってしまうのです。

福島第一原発から噴き出してきたトリチウムも、殆ど全ては水という形で、放射能を持った水となって敷地の中を汚している。今敷地の中で汚染水の処理ということが行われている。汚染水から放射能を取り除きできるだけ綺麗な水を作ろうとしているわけですが、トリチウムは水そのものなので、トリチウムを取り除くことができない。この放射性物質だけは全く手に負えないのです。

これからも全量海に流すということになると思います。どんな魚も海も水で体を作っているので、トリチウムで汚染されるし、それを食べる我々がトリチウムで汚染されることはどうやってもさけられないのです。

ただしトリチウムは毒性はかなり低いです。被爆をさけることはできないですが、毒性はかなり低い。この被曝量がどれぐらい重大になるかはこれから経過をしてみるしかない。1ミリシーベルという被爆をしてしまうとすると、普通の人であれば2500人に1人がガンで死ぬであろう。赤ん坊であれば600人に1人ぐらいがいずれガンで死ぬという運命を負わされるということです。

Q:国の基準値ってどう決めているの?決定に国民は関与できないの?

(小出先生の回答)
本当は国民が主権者な訳ですから、関与できなければおかしい訳です。残念ながら 一人ひとりの国民が政府の決定に力を及ぼせるような歴史はなかったし、今でもない。それぞれの基準というのは、政府が決めた何とか委員会というようなところで決める。その決定事項もそれぞれの時代のそれぞれの社会のそれぞれの政府の思惑できまってくる。

今までは被爆できる1ミリシーベルトと決まっていました。それは放射能は危険だから、国民を守らなければいけないと一応作っていたのです。ところが事故がおきて、日本の政府はそれまでの基準をあっさりと撤回して、今は平常じではない、今は緊急時なので、1年間に20ミリシーベルまではがまんさせることに決めたのです。

日本、特に被災地は意義と唱えるわけですが、それがいきるような政治の体制になっていない。1年間に20ミリシーベルとの被爆しないのであれば、住んでも良いし、むしろそこに積極的に戻れという指示を出している。そういう国なのです。

ですからそういう基準は、それぞれの時代のそれぞれの政府の思惑で決まる。それに意義があるのであれば、声をあげるしかないということだと思います。

Q:南相馬市の黒い物質について
「黒い物質」ですが、南相馬市小高区の内陸10km付近に1kgあたり600万ベクレルの土があるという事ですが、役所自体が海から5~6kmのところにあるのです。その海に近い比較的線量の低い場所に住んだとしても、強い西風の季節風が吹けば前述600万ベクレルの土が飛んできて危険だと思うのですが?

(小出先生の回答)
もちろん、そうです。皆さんはご存知だと思いますが、環境は流れているのです。空気だって流れているし、土の汚染だって流れている。風でとんでくるわけで、汚染地から離れているから安全ということはない。1kgあたり600万ベクレルという、私からみるとビックリするような高濃度な汚染がごくごく普通の環境にあるのです。それがもちろん移動しているわけで、風で飛んでくるということは、必ずあると思わなければありません。

ただし、今私も含めて黒い物質と読んでいるものは、総量としては多くありません。周りの汚染を吸収してしまっただけで、量としては対して多くありません。駐車場にスミに溜まっていたり、雨ドイの下にたまっていたり、ということで、量としては多くないので、風にとばされていったとしても、飛ばされた先で高濃度の汚染物になるということとは違うと思います。

危険がないというわけではないですが、ご質問のように強い西風の時に飛んできて被爆をしてしまうことだろうということ、そのことは本当、大量の被爆をうむということにならないと思う。

むしろ皆さんにお願いしたいのは、そういう猛烈な汚染された黒い物質というのは皆さんの近くの環境にあるでしょうし、そこで子どもたちが遊んでいる場所がある。そういう場所を徹底的に見つけて、子どもを被爆から守るということをやって欲しいと思います。

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