ホワイトフードの自主検査は、食品業界で最もきびしい放射能検査と食品の安全基準を掲げ、お客さまとご家族の健康を第一に考えて参ります。ホワイトフードの自主検査の基準を0.5Bq/kg以下に設定、 国の100倍きびしい検査基準に設定しております。(詳しくは、放射能検査ポリシー)
厚生労働省が発表している食品の放射能検査のデータをもとに、放射性セシウムが検出されたものを市町村ごとにプロットして地図をホワイトフードがつくりました。
1. 全食品の放射能検査の結果
2. 魚の放射能検査のまとめ
3. 野菜の放射能検査のまとめ
4. 果物の放射能検査のまとめ
5. きのこの放射能検査のまとめ
6. 肉類の放射能検査のまとめ
1. 放射性ヨウ素
放射性ヨウ素は事故直後に放出された放射性各種であり、半減期8日と短いため、現時点では食品から観測されることはまずありえません。ただ、甲状腺がんの原因になると言われているため、放射能検査をするときは必ず確認を行っております。(事故直後の放射性ヨウ素の汚染地図(情報ソース:アメリカ政府)は、こちら)
2. セシウム134およびセシウム137
野菜や肉などの陸上の食品に関して一番気をつける必要があるのが、放射性セシウムです。放射性セシウムには、半減期が30年のセシウム137と、半減期が2年のセシウム134があります。京都大学原子炉実験所の小出先生には、放射性セシウムが検出するかどうかを一番の安全基準にするようにと、ホワイトフードの事業をはじめる前にアドバイスをいただきました。(事故直後の放射性セシウムの汚染地図は、こちら)
3. ストロンチウム90
ストロンチウム90は毒性が高い放射性各種の1つです。福島原発事故では、ストロンチウム90は気化しなかったため比較的陸上の汚染は少ないですが、海には大量に出ていると言われています。
特にストロンチム90の構造がカルシウムに煮ており、骨にストロンチウム90が取り込まれると白血病や骨の癌になると言われております。ストロンチウム90は海に大量に放出されているので、太平洋側の魚には注意が必要であると考えております。ストロンチウム90の検査費用はとても高いのですが、ホワイトフードでは、お客さまの安全性を担保するために検査項目の1つに追加しております。(事故直後の放射性セシウムの汚染地図は、こちら)
放射性ヨウ素と放射性セシウムはガンマ線で測るので、これらを計測できる測定器を2種類ご紹介します。
1. ゲルマニウム半導体検出器
ホワイトフードでは、放射性ヨウ素、セシウム134、セシウム137のそれぞれに対して検出限界値0.5Bq/kg以下で、精度よく不検出を確認するための測定に、ゲルマニウム半導体検出器にて運用しております。検体の重さにもよりますが、0.5Bq/kgの検出下限値まで検査するには、3時間前後の検査時間が必要になることが多く、1日6検体ぐらいの検査を実施しております。
2. NaIシンチレーション検出器
ホワイトフードには、ベラルー製のNaIシンチレーション検出器が2台あります。チェルノブイリ事故後に最も活躍された測定器で有名なATOMTEXという測定器製造メーカーです。
2011年と2012年にホワイトフードでもNaIシンチレーション検出器を使用しておりました。検体の重さにもよりますが、5Bq/kgの検出限界値まで検査するのに24時間ぐらい必要になることが多かったように思います。
京都大学の原子炉実験所にお勤めになっていた小出先生によると、ゲルマニウム半導体検出器と比較すると、NaIシンチレーション検出器は比較的誤差が大きく精度が低いというのが難点であるとのことでしたが、事故後の測定は放射性物質が入っているかどうかの特定が何よりも大切であると考えておりました。
できる限り誤差が少なく精度を高めるために、NaIシンチレーション検出器で長時間検査を行うことが必要したが、放射性セシウムおよび放射性ヨウ素の測定に対して5Bq/kgまで検出限界値を下げることができました。
しかし、NaIシンチレーション検出器では、5Bq/kg以下の精度で測定ができないため、福島原発事故以前の安全性が担保できないと考えて、ゲルマニウム半導体検出器を購入することに致しました。
ゲルマニウム半導体検出器もいろいろな種類があり、ホワイトフードでは小出先生にアドバイスを頂いて、精度を考慮してキャンベラ社のゲルマニウム半導体検出器を購入致しました。
引用:放射性セシウム(セシウム134、セシウム137)はともに、「ベータ崩壊」という崩壊で、それぞれバリウム134とバリウム137になります。ベータ崩壊とは、「ベータ線(電子の流れ)を出して崩壊する(別の元素に変わる)」という意味です。したがって、セシウム137とセシウム134から放出される電子の流を測定して、放射能を決定することが可能ですが、実はこれは結構面倒なことなのです。
「電子の流れ」とは、何でしょうか。極端な例ですが、もっとわかりやすい例は雷でしょうか。ちょっと巨大ですが、あれも電子の流れの一種です。雷でもわかるように、空気中に電子を強引に流すとまっすぐ飛ぶことはありません。飛んでいる途中で、空気分子や水分子にぶつかって方向があちこちに曲がります。
そのため、空気中でベータ線は真っ直ぐ飛ぶということはなく、殺虫剤をかけられたハエのような動きをします。まだ勢いのよいハエもいれば、もうダメだ・・・とヨロヨロのハエもいます。いろんな勢い(=エネルギー)のハエがたくさんいると、一体元々のエネルギーはどれぐらいなのか、よくわからなくなってしまいます。
ベータ線を測ることができる測定器を持っている方なら、地面に近づけると値が急に大きくなるという経験をお持ちかもしれません。これは放射性物質からのベータ線が地面周りをふらふらと飛んでいて、それほど上向きの方向には飛んでいないことを示しています。このように測定する方法によって値が大きく変わってしまいます。
このようにベータ線にはちょっと面倒な性格があるので、ベータ線できちんと放射能を測定するのには様々なことに気を使わなければなりません。一つの試料をじっくりと測るという余裕があればいいのかもしれませんが、環境試料は数をこなす必要がありますから、そんな悠長なことはしていられません。
セシウム137とセシウム134の崩壊はベータ崩壊ですが、同時にガンマ線を放出する特徴があります。ガンマ線はベータ線とは異なり、光の一種です。つまりガンマ線は懐中電灯の光と同じような性質があります。
懐中電灯の光は空気中でも曲がったりすることがありませんから、エネルギーが途中で大きく変わることもありません。そのため、分析する側からすれば、原子核からとびだしてきたままの放射線が検出器で検出できるので、このガンマ線はどのような原子核から飛んできたのか推定が容易になります。放射線を計測する研究者はみんなガンマ線がお気に入りですし、崩壊時にガンマ線を出すのであれば、よっぽどのことがない限りガンマ線を使って分析します。
もう少し詳細に説明すれば、放射性セシウムの1つ、セシウム137はベータ崩壊によって、ベータ線を出しながら周期表の1つ右隣りの元素、バリウム137の励起状態から基底状態になるときに、ガンマ線を放出します。セシウム137の場合、この過程は一瞬で発生しますので、崩壊過程でベータ線とガンマ線はほぼ同時に放出されます。なので、どちらの放射線を観測しても同じ結果をえることができますが、観察するのに簡単なガンマ線に着目して楽をしよう、ということです。
:以上、引用終了
(引用元)著書「放射性セシウムはガンマ線を測る」著者 小豆川勝見
ゲルマニウム半導体測定器はとても高額(定価2,000万円)であることで知られていますが、その理由は遮蔽体の値段が高いことがあげられます。その遮蔽体の大切さについて引用させていただきます。
引用:【遮蔽体は測定器よりも効果】
測定時間とは言い換えれば、試料から放出されるガンマ線を収集している時間のことです。そのため、時間をかければかけるほど、リオン上はよりよいスペクトルが得られることになります。しかし、どんなに時間をかけても、試料とは別のよぶんなガンマ線が紛れこんでくるような場所で測定していてはいけません。そのため、遮蔽体という周辺からのガンマ線を遮蔽するものを検出器のまわりに設置します。
ガンマ線はできるだけ重たい元素、例えば鉛で遮蔽します。鉛は理想を言えば、10センチメートル以上の暑さ、そして「綺麗」な鉛が欲しいところです。安価な鉛には天然由来の放射性同位体の鉛210が少なからず含まれ、それが46.5キロ電子ボルトのガンマ線を放出してしまいます。これが測定上のバッググランド(ノイズ)を高めてしまう原因の1つになるのです。
46.5キロ電子ボルト程度の弱いガンマ線であれば、それほど大きな影響は受けないのですが、鉛210の娘放射性物質であるビスマス210のベータ崩壊に由来する制動放射線が与える影響が大きいのです。これを防ぐためには鉛遮蔽の内側に鉛とアクリル版を設置してさらに遮蔽します。鉛には試料から放出されたガンマ線を吸収しX線(Kアルファ線)として放出する性質がありますが、無酸素銅はそれを遮蔽する役割もあります。
遮蔽体には鉄を使うこともあります。面倒なことに鉄の素材を選びにも一工夫が必要です。第二次世界大戦後の溶鉱炉では炉の損傷ぐらいを確認するために、予め放射性物質(コバルト60)を炉に入れておくことが主流となり、その製品として出荷される「鉄」にはごくわずかなコバルト60を含んでいます。この鉄を用いた遮蔽環境では低バックグランド環境に到達できないことが多く、より良い測定環境をめざす放射線測定の分野では、第二次世界大戦中に瀬戸内海の安芸灘で沈没した戦艦「陸奥」を引き上げて、それを切り出した鉄を遮蔽に用いることがよくあります。
しかし、このように鉛や銅を使って遮蔽をかけてもまだ妨害要因があるのです。それは大気中に存在するラドン222(Rn222)で、場所にもよりますが数ベクレル(1立方メートルあたり)程度の濃度があります。そのため、場所によっては、遮蔽材と試料の間の隙間を発泡室ロールなどでできるだけ詰めておくという工夫も必要です。
これ以外にもまだバックグランドを下げる工夫はありますが、遮蔽をきちんとかけて妨害を低減させることがいかに難しいかご理解いただけるかと思います。ゲルマニウム半導体検出器一式を購入すると、ゲルマニウム半導体検出器本体よりも、その遮蔽体の値段の方が高いことがよくあります。さらに、遮蔽体は重たい鉛や鉄でできていますから、それだけで1〜2トンの重さになります。そのため、設置場所にも気を使うことになります。
:以上、引用終了
(引用元)著書「放射性セシウムはガンマ線を測る」著者 小豆川勝見
ストロンチウム検査について
福島原発事故によって放出された放射性セシウムやストロンチムなどの放射性物質による海の汚染が懸念されております。日本の太平洋側で摂れた魚に関しては、毎月1種類以上のホワイトフードの取扱商品でストロンチウムのリスクが高いものを中心に自主検査が必要と判断して、検査を実施しております。
食品を酸で処理をするために検出限界値が多少前後しますが、検出限界値は0.5Bq/kg以下におさまるようにできる限りの努力しております。
放射性ストロンチウムには、ベータ崩壊時にガンマ線を放出せずに、ベータ線だけを放出する特徴があります。そのためガンマ線の研修に長けたNaIシンチレーションカウンターやゲルマニウム半導体検出器を使うことができないのです。「放射性ストロンチウムを早く知らせて欲しい」というご要望が事故当初たくさん寄せられましたが、この特徴があるからこそ、私たちもなかなか値を出すことができなかったのです。
放射性ストロンチウムが崩壊時にベータ線しか放出しない以上、ベータ線を計測することでしか定量することができません。測定機器にはベータ線測定を得意にする(低バッググランド用)液体シンチレーションカウンターやガスフローカウンタと呼ばれるものを使います。
やっかいなことに環境試料中には放射性ストロンチウム以上にもセシウム134やセシウム137が圧倒的に卓越して存在していて、これらもベータ崩壊時にベータ線を出しています。さらに福島第一原子力発電所事故とは関係なく、環境中に過去の核実験やチェルノブイリ原子力発電所事故によって放出された人工放射性物質もありますし、鉛210をはじめとする天然の放射性物質も多数存在し、それからベータ線が放出されることもあります。これらのベータ線のエネルギーがスペクトル上で分離できれば容易なのですが、残念ながらそうはいきません。
そのような理由があるので、放射性ストロンチウムを計測したければ、環境資料からストンンチウム89とストロンチウム90のみを科学操作で分離・精製しなければいけません。土から様々な試薬を使って放射性ストンチウムだけを集めている過程です。この後も長い長い化学処理をくわえていかないと放射性ストロンチウムだけを分離することはできません。
:以上、引用終了
(引用元)著書「放射性セシウムはガンマ線を測る」著者 小豆川勝見
小売各社の自主的な放射能検査において、消費者として一番気をつけるポイントは、「検出限界値」です。理由は検出限界値を高く設定し測定すると、放射性物質によってどんなに汚染された食品も不検出とすることができます。
小売業者によっては商品ごとに放射性物質に対する検出限界値を変えることで、安心感を演出する業者もあるので、注意が必要です。例えば、検出限界値を10Bq/kgに設定し測定すると、10Bq/kg以下の9Bq/kgの放射性セシウムの汚染も、不検出であるという結果になるのです。
放射能の自主検査で不検出でしたと説明があったときは、どのような放射能測定器で、検出限界値はいくつでしょうか?とお聞きになるとより安全だと思います。
放射性物質の脅威からできる限りお客さまをお守りするために、自社所有のゲルマニウム半導体検出器で、全ての取り扱いアイテムについて検出限界値0.5Bq/kg以下と低く設定し厳密に放射能検査しておりますが、食品をフードプロセッサーで粉砕し物理学的に質量を均一にして検査を行うため、サンプル検査となります。
サンプル検査での安全性を担保するため、全ての商品は原材料産地と製造地が安全であると思われる地域のもののみとする基準をもうけて販売しております。
当社取扱商品の主な原材料産地、当社取扱商品の製造地
商品の検査頻度について
さらに、商品によって放射性物質によるリスク度合いが異なるため、セシウム134、セシウム137および放射性ヨウ素について、以下の検査頻度の基準で運用し、情報公開をしております。
きのこ 出荷ごとに毎回
魚せっと 1か月に2回
野菜せっと 1か月に1回
ホワイトライス 仕入ロット毎
一般の調味料他 3~12か月に1回
① 検出された食品一覧および地図(2015年上半期、厚生労働省の情報より抽出)
放射性ヨウ素、セシウム134およびセシウム137が検出された食品を地図にまとめてみました。厚生労働省が発表した食品の放射能検査一覧の情報を元にしております。
出荷規制がかかっている食品もありますが、特に出荷規制がない流通商品から、検出されているのが特徴です。また、放射能検査はサンプル調査であるため、出荷規制がかかっていない食品も、放射能検査の基準を厳しくした検査したり、検査回数を増やしたりすることで、安全を確認すべきではないかと考えております。
放射性物質は目に見えませんので、客観的に汚染状況を把握できるように、厚生労働省の情報を可視化するために、地図におとしてみました。食品カテゴリーごとにまとめてみましたので、ご参考にしてください。
きのこ / カレイ/ カテゴリー別のまとめ/ うなぎ / ワカサギ / お米及び穀物 / 野生鳥獣肉 / イモ類 / 大豆 / 食肉 / 野菜 /海の魚 / 果物 / 川魚
海産物 / 肉類 / きのこ / 豆類 / 果物 / 野菜 / 米・穀物 / 水・お茶
② 検出されなかった食品一覧
放射性ヨウ素、セシウム134およびセシウム137が検出されなかった食品の一覧は下記の通りです。放射性ヨウ素、セシウム134およびセシウム137が検出されなかった食品の一覧は下記の通りです。
|
放射性物質にはしきい値がなく、○○Bq/kgを超える食品を食べると必ずがんになるというものではありません。1Bq/kgは、1秒間に1回放射線を発するという意味です。
福島原発事故と同じレベル7のチェルノブイリ原子力発電所の事故では、甲状腺がんだけでなく、放射性物質によって白血病・心筋梗塞・消化器系疾患・呼吸器系疾患などが増えて、事故後25年経った現在でも増え続けているようです。
14才以下の子供は、成人30才と比較すると放射能による発がんリスクが3~4倍です。だからこそ、子どもには放射性物質に対する検出限界値が福島原発事故以前と同等な安全性を担保できる0.5Bq/kg以下で放射能検査した安心な食べ物が必要であると考えております。
福島原発事故から4年が過ぎましたが、半減期が30年と長いセシウム137が多くの食品から検出され続けていることを考慮すると、若いご家庭にとって放射性物質を含んだ食品による内部被ばくを少なくする努力が必要な状況であると思います。ホワイトフードは、内部被ばくができる限り少なくて済むように、安全を担保するために必要なゲルマニウム半導体検出器を使い、食品の放射能検査を日々継続しております。